特集
気になる、子どもの歯並び



悪い歯並びが及ぼす影響

 「子どもの歯並びが気になるけど、どのタイミングで治療を始めたらよいか分からない」、そんな悩みを抱えているお父さん、お母さんも少なくない。悪い歯並びには、どんなデメリットがあるのだろう?悪い歯並びが引き起こすといわれる症状を挙げてみると、次のとおり。

●虫歯になりやすい
●歯周病になりやすい
●発音に影響がでる場合がある
●食事の効率が悪い
●成長期に、悪い歯並びを放置しておくと、顎の成長に問題を起こし発育不足を起こすことがある
●悪い歯並びが心理的にも悪い影響を与える場合がある

 パール歯科クリニック(世田谷区赤堤)によると、小学4年生を対象に調べたところ、なんと90%の子どもが歯並びを気にしていたという結果が出ている。親が思っている以上に子ども自身も歯並びを気にしているという現状がわかる。

 また、小学生の現状を調べた論文によると、前歯に見られる叢生(そうせい:歯が重なる歯並び)が高学年になるにつれ増加する傾向がみられる。6年生で上顎55%、下顎45%。次いで多い歯並びは出っ歯で48%。これらは口の周りの筋肉の弱さが、主な要因。叢生と出っ歯は、この先、増加傾向にあり問題視されている。
 矯正の目的は、見た目を整えることはもちろん、虫歯の予防など、口の機能を回復させることにもつながる。悪い噛み合わせを放置しておくと、頭痛、肩こり、アレルギー、さらには睡眠時無呼吸症候群の原因にもなる恐れがある。最近では、呼吸機能の低下によるぜんそくや鼻づまりなどの疾患との関係も指摘されている。


*口腔衛生会誌J Dent Hlth 58: 158―167, 2008 
  小学生における歯列・咬合状態の追跡研究 佐々木貴浩ほか

なぜ 「叢生(そうせい)」 (歯が重なる歯並び)が
増えているのか ?

 叢生が増えている最大の理由のひとつが咬む筋肉の退化現象といわれている。退化の原因は文化の変化に伴う食事の軟食化も影響している。側頭筋や咬筋など咬む筋肉は、退化とともに顔の形も変わっていき、顎が先細り、頭が大きくなる傾向が強くなる。

 顔の成長は一生続くものではなく、人間の顔は0歳から6 歳までに80%出来上がり、残り20%は、女子の場合10 歳から14歳で、男子の場合10歳から17歳で2次成長を迎える。この2次成長の時期までに正しい噛み方、飲み込み方を覚えておくことが叢生を早期に防げるのに大切なことを知っておきたい。正しい噛み方とは、奥歯本来のすりつぶしながら食べるグラインディング咀嚼が理想。また、飲み込み方は、舌を上顎につけて飲み込む方法が正しい。このようなトレーニングをしていくと自然に歯の重なりがとれて、早期に叢生の改善を促すことができる。

矯正歯科治療とは

 悪い歯並びがおよぼす悪影響を解決していく矯正歯科治療は、さらに歯列を正しい大きさに矯正することにより、見た目の歯並びだけでなく、視力、聴力、脳活動力、心肺機能、
消化機能など、身体のさまざまな部分に良い影響を与える。また、噛み合わせは片頭痛、肩こり、腰痛など、あらゆる全身疾患と大変深い関係にあるため、噛み合わせを正すことは、全身疾患の予防、改善にもつながる。

 小児の場合、男子で17歳、女子では14歳くらいまで、頭部と顔面の骨の成長が続く。パール歯科クリニック院長の大原健一先生は、「この成長著しい大切な時期に半年でも早く噛み合わせを正しくしてあげることが理想です」と、成長期での矯正治療の大切さを強調する。取り外しできる「床矯正」( しょうきょうせい)

 「床矯正」は、夜寝ているときだけ装着する取り外し式の矯正装置。これはワイヤーを使った治療方法ではないため、食事中や学校・仕事のときなど、人前に出るときは装置を外すことができる。

 この床矯正は歯を正しい位置に動かすとともに、歯の土台そのものを正しい大きさに拡大する。床矯正装置には、スクリューが装着されており、ネジを巻いてスクリューを移動させることで歯の土台を広げたり歯を動かしたりできる。この「ネジタイプ」(写真1)は、薄く違和感が少ないが、自身でネジを回し調整する必要がある。長時間、装着し忘れると、再装着時に痛みを伴うことがある。一方、バネを使った「SHタイプ」(写真2)は、厚く装着時の違和感は否めないが、バネで常に一定の力が働き自動的に顎が広がるため、ネジを回すわずらわしさがなく、長時間、装着し忘れても、再装着時に痛みはほとんどない。

 床矯正は取り外しができるため、虫歯防止や人に知られることなく矯正治療ができる点が最大のメリット。たとえば、写真撮影の日や大切なイベントの日など、治療中であっても自然な笑顔を演出できて、矯正装置を付けているというコンプレックスからも解放される。 

 矯正と聞いて、「歯を抜くんでしょ?」と不安に思う人もいるかもしれない。たしかに、一般的にワイヤーを使った矯正治療では、歯を並べるスペースを作るために抜歯をすることがある。しかし、床矯正装置には、先述のとおり、スクリューが装着されており、歯の土台そのものを拡大することができるため、大切な歯を抜かなくても歯並びを整えることができる。しかもワイヤーを使った従来の固定式の装置は、取り外しができないため歯磨きが難しいが、床矯正では、装置を取り外せるので普段と同じように歯磨きができて、虫歯・歯周病予防にもつながる。 

 床矯正では歯を動かすのではなく、装置を使って顎骨の成長を正しい大きさへと促す治療になる。そこで、治療後に歯の位置が戻ってしまう、いわゆる「後戻り」がほとんどないのも特長。ゆっくりと歯を移動していくため、ワイヤーを使った矯正に比べて時間はかかることもあるが、早期に始めれば、半年以内で終わる場合もある。

床矯正治療の開始時期の目安

 床矯正治療は、早くて4歳から始められる。治療における年齢制限もなく、身体に障害がある場合も障害の程度によっては矯正治療ができる。治療期間は年齢によって異なり、パール歯科クリニックでの治療開始時期の目安と治療期間は表 1 のとおり。

 小児の場合、すべての治療が終わったとしても、歯が完全に並びきるのに16歳頃までかかるといわれている。その間、クリーニングをしながら定期的な観察をしていく。治療が長く感じる場合もあるかもしれないが、子どもの矯正治療にとって、成長過程を観察することは非常に大切なので、大人の矯正とは異なることを知っておこう。

床矯正の流れ *パール歯科クリニックの場合

【情報提供】
パール歯科クリニック
TEL:
03-5300-6480
http://www.pearl-shika.com/
最寄駅:京王線/東急世田谷線
     下高井戸駅
東京都世田谷区赤堤5-32-2